帰りのホームルームが終わり、あたしは1人、帰り支度をしていた。

早く準備しないと、お姉ちゃんを待たせることになるから。

あたしは開いている鞄を掴み、小走りで教室を出た。

開いていても、良いや。

お姉ちゃんに会った時、閉めようっと。





ドンッ

あたしは教室を出てすぐ、誰かにぶつかった。





「ご、ごめんなさい!
大丈夫ですか?」




急いで顔を上げると、目の前には見覚えのある彼が立っていた。




「つ、月更くん……」




相変わらず黒髪が長くて、目元―――というか顔全体が見えないけど。

ふわふわしている黒髪は、健在だった。




「大丈夫?」




あたしの方が月更くんより背が低いので、どうしても見上げる形になってしまう。

月更くんは何度も小さく、頷いていた。




「本当、ごめんね!」



あたしは鞄を肩に掛け直し、校門に向かって走り出した。