そんなことを心の中であたしが思っていることも知らないヘタレ野郎は、何故かニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていた。

ちなみにあたし、この男子の名前知らないから、ヘタレ野郎って呼んでマス。




「いないんじゃないかな」

「何でそんなに曖昧なんだよ。
越田と夏美様って双子なんだろ」




だったら何?

あたしとお姉ちゃんが双子だから仲良いと思ってんの?

それ、全国にいる双子に言えるか?え?

全国にいる双子が仲良いとか悪いとか知らないけど、少なくともあたしとお姉ちゃんは仲良くないよ。

ま、お姉ちゃんがどう思っているか知らないけどね。

あたしは嫌いだよ、お姉ちゃんのこと。





「特に興味ないから、そういうの」

「そ、そうなのか……」




あたしは本を開き、強制的に話を終わらせた。

ヘタレ野郎も気が付いたみたいで、友達の所に戻ってしまった。

いつものこと、気にしない。

どうせ誰しも必要にしているのは、あたしじゃない。

お姉ちゃんしか、必要と思っていない。

越田という名字も、お姉ちゃんのために存在する言葉だ。




あたしは机の上に置かれた、お姉ちゃん宛てのラブレターを見た。

今時、送る奴なんているんだ…なんて思わない。

お姉ちゃんの傍にいれば、渡されること何ていつもなんだから。



先生がホームルームをしに入ってきた。

あたしはゆっくり本を閉じ、ラブレターを鞄の中へ仕舞った。