「……何もされてない?」

その声は今まで聞いた声よりもずっと優しくて、あったかかった。


だけどあたしはそれに答える事は出来なくてとっさに視線をそらした。


「…緩菜ちゃん帰ろう」


廉斗くんはあたしの身体をひょいっと持ち上げて何事もなかったかのように歩き出した。


「れれ廉斗くん///!?」


嘘でしょ!?おおおおおお姫様だっこぉー!?


うわうわうわうわ!!あたし今絶対顔真っ赤だよ///



廉斗くんが部屋を出る際、
如月くんがのそっと立ち上がり、
口元を上げた。



「緩菜ちゃんの唇、やらかかった~」


廉斗くんはほんの一瞬ピクリと立ち止まったけどすぐに歩き出した。


「廉斗くん……」


勇気を出して声をかけても廉斗くんはなにも答えてくれなくて、


あぁあたしやっぱり嫌われちゃったのかな?って思わせた。




ねぇ廉斗くん?
なんで助けにきてくれたの?
どうしてあたしの場所がわかったの?



女の子はね、好きな人に好きな人がいるってわかってても、
そんなことされたら期待しちゃうんだよ?