「じゃあ俺と一緒に帰ろう」

「え?でもたしか、家真逆じゃなかった?」



たしか如月くんはいつもあたしとは真逆の方に帰ってるから。



「だって用事ないんでしょ?
だったらカラオケ行こう。他にも皆いるから」


聞いてなかったのかな?
あたし寄り道しないって行ったよね?


「それに緩菜ちゃんに話したい事があるんだ」

「話したい事?それなら今でも……」

「今はちょっと無理なんだ。柊の好きな人についてだからさ」



廉斗くんの……好きな人?



「だから、いいかな?」



廉斗くん、好きな人いたの?
だから昨日あたしがあんなことして……
もしかして好きな人に誤解されたくなかった?


そうだよね……
それしか、ないよね……


本当だったら廉斗くんの好きな人についてなんて何も聞きたくない。
だけど知りたい。
廉斗くんの、好きな人を。



「……行く」

「よし決まり!じゃあ行こう」


手を差し出されて、それが手を繋ぐって事を意味するなんてさすがに今回はわかった。

だけどあたしは迷うことなくその手に触れた。

学校を出る前にまだ校舎に残ってた花梨に一言声をかけて、
あたしは如月くんと手を繋いで学校を後にした。