そんなあたしに察したのか花梨はその後何も問い詰めないで、
他愛もない話をたくさんしてくれた。


上手く笑えてたかはわからない。
でも緩菜の優しさが身体中に伝わって
なんだかほっこりした。




だけど、その日は1日中廉斗くんは来なくて、あたしは静かな1日を過ごした。




「緩菜帰ろ!てか駅前に新しいカフェ出来たんだよ!行こうよ!」

「うーん……ごめん、それ今度埋め合わせる」


今日はどこにも行きたくないから。

あたしが思ってた以上にあたしは廉斗くんの事が好きで、

ちょっと廉斗くんに冷たくされたり、
引かれただけなのに、
こんなにも気持ちが落ち着かないなんて。




「緩菜ちゃん1人?」

「みや………如月くん」

「え?」

「あ、ごめんね。色々あって、他の男の人の事名前で呼ぶのやめたんだ」



如月くんは一瞬考え事をしてすぐにいつもみたいにニコッと微笑んだ。



「緩菜ちゃん、これから予定ある?」

「予定はないけど今日は寄り道しないで帰ろうかなって気分」

「ふーん、それって柊も?」

「……廉斗くんは奏太くんと帰るんじゃないかな?わかんないけど」


この学校に来てから初めて1人で帰る。
それまではずっと廉斗くんとだったから。
たまに花梨も奏太くんも。