「廉斗……くん?」


廉斗くんにいつもの笑顔はなくて、ただまっすぐあたしを見つめていた。


そしてあたしを無視して自分の教室へ行ってしまった。



「カラオケいきたかったんじゃない?」


雅くんはそうケラケラ笑うけどあたしはそんなことどうてよくて、

廉斗くんに初めて無視されたことがショックでなにも言葉が出なかった。






結局そのことが忘れられないままお昼休みになった。


いつもなら毎休み時間、

『緩菜ちゃん』って優しい笑顔であたしのとこに来てくれたのに、

今日は一度も来てくれてない。


そしてそれはお昼休みにも同様で、
毎日欠かさず一緒に食べてたのに廉斗くんは来てなくて、

来たのは奏汰くんだけだった。


「奏汰くん……廉斗くんは?」

「廉斗なら教室で飯食ってたけどなんか朝から様子変でさー、
いつもなら緩菜ちゃんに逢いにくるのに」

「……そっか」



嫌われたのかな?
でも、なんで?

昨日までは普通だったよ?
恋人繋ぎしてくれて、家まで送ってってくれて、朝も一緒に登校して……


機嫌悪くなったのは……
雅くんが来てから……?


だけどそれだったらあたしに無視なんかしないよね?