「緩菜ちゃんの席借りてた」

「そうなんだ~!あたしの席使ったの廉斗くんが初めてだよ!」


自分から言ったその言葉に口元が自然と上がる。



「……俺が、初めてか」

「ん?廉斗くんなんて言った?」


なんだろう、廉斗くんすっごい笑顔。



「あーきにしないで!
じゃあ今度俺の席緩菜ちゃん座ってね」

「廉斗くんの席?」

「そう。俺の席使うのも緩菜ちゃんが初めてだから」



あたしが……初めて。

どうしよう……凄い嬉しい。



「緩菜ちゃん帰ろっか」



廉斗くんはあたしに手を差し出した。



ん?また握手?



「あはは、廉斗くん面白い」


あたしは廉斗くんの手を握って本日二度目の握手をした。




「なんで握手?」

「え?違うの?さっきもそうだったからてっきり握手かと思った」



廉斗くんの眉がピクリと動いた。