結局私は何が何だか分からないまま、亮太と自分の家の前で会う約束を取り付け、なぜか広瀬くんと一緒にうちへ向かっている。


私の家も広瀬くんの家も大学から徒歩圏内にあり、歩くと20分程度の距離だった。私は近づくにつれ、どんどん気分が滅入ってくる。このわけのわからない状況も相まって、なんていうかもう…視界が悪くなるような…



「大丈夫、任せて。」


「へ…?」



そんな私の顔色に気付いたのか、ふと広瀬くんが声をかけてくれる。


《任せる…?一体どういう…?》


私はますます混乱して、まともな返事さえできないまま、重い足どりで一歩ずつ進む。そうこうしているうちに気がつくともうわが家はすぐそこで。


遠目にだけどうつむいて壁にもたれる亮太の姿も見えてきて。


ついに足が止まってしまう。


すると広瀬くんは目配せするようにしながら


「あ、あの彼…?」


と確認してきた。緊張とこれからどうなるのかという思いですでに私は涙目で、小さく頷いて応えるのが精一杯だった。