封筒を見せられた京香は訳がわからないと言うように首を傾げた。

「1週間前に上杉さんが言ったことを覚えているかな?

仕事以外で近づかないで欲しいって」

そう言った恭汰に、
「それがどうかしたんですか?」

京香はさらに訳がわからないと言うように聞いてきた。

恭汰は京香の手に封筒を握らせた。

「約束通り、俺はもう仕事以外で上杉さんに近づかないようにする。

その代わり、1万円札は君に返す。

持っていても仕方がないだけだからね」

「そうですか…」

京香は呟くように返事をすると、封筒をスーツの胸ポケットの中に入れた。