同じ頃。

「あー、さっぱりしたー」

洗ったばかりの髪をバスタオルでふきながら、恭汰はバスルームから出てきた。

冷蔵庫からペットボトルのスポーツドリンクを取り出すと、それに口をつけた。

のどを渇いていたと言うこともあり、スポーツドリンクは半分ほどペットボトルに残った。

それを冷蔵庫へ戻すと、恭汰はカバンからまた白い封筒を取り出した。

封筒を開けると、1万円札が出てきた。

「――これを使って近づくしか、もう方法はないかもな」

そう呟いた後、恭汰は1万円札を封筒に入れた。

京香はもう近づくなとは言ったけど、いつまでも1万円札を持ち歩く訳にはいかない。

「彼女にひどいことをすると言うのは、俺が1番わかっているのだから…」

呟くと、カバンの中に封筒を入れた。