「はい、どうぞ」
「あっ、ありがとう……」
「今日、4月だっていうのに異常に暑くない?俺、暑いの無理なんだよね」
ベンチに座る途中で買ったオレンジジュースをあたしに差し出しながら、椿君はパタパタと手のひらで顔を仰いだ。
暑いといっているわりには汗ひとつかかず涼しい表情の椿君。
小さな顔、高い鼻、薄い唇、長いマツゲ、大きな茶色い瞳。
肌は綺麗だし、女の子みたいに可愛くて美形な椿君。
それでいて、喉仏が張り出していて声も低いから妙なギャップがある。
こんなに間近で見たのは初めて。
今まで意識して椿君を見たことがなかったけれど、なんだかマンガの世界の住人みたい。



