「色々二人の仲をかき乱してごめん。それも今日で最後にする。ほら、早く朝陽のところへ行ってあげたよ」


「うん……――」


「今度は遠慮せず、ちゃんと自分の気持ちを伝えるんだよ?」


「ありがとう!」


椿君に微笑みかけた時、ふと朝陽との電話での会話が蘇った。


『誤解されてんのにその誤解を解くこともできねぇし、それをその相手にうまく伝えられないこと』


そう寂しそうに言った朝陽。


その言葉の意味は分からない。


だけど、さっき朝陽は椿君に言った。


『誤解』だと。


もし電話での会話が椿君にいった言葉と重なるとしたら、無関係ではない気がする。



「誤解……か。俺、ちゃんと朝陽の話聞いてみる」


「……うん。椿君、あたし、行ってくるね……――!!」


あたしはそう言うと、屋上の扉に向かって走り出した。