「何も言わないってことはそれが愛音の気持ちってことだよな」 朝陽はそう言うと、椿君の襟元をパッと離して地面に転がるバッグを掴み上げた。 「……――っ」 「俺ら、別れようぜ。あとはお前等の好きにしろ」 「あ、あ、朝陽……――」 「じゃあな」 朝陽はそう言い残すと、屋上から出て行った。 朝陽を引き止めることも、声をかけることも何一つできなかったあたしは呆然と屋上で立ち尽くす。