祭り会場は混雑していた。
歩行者天国になっている車道の両サイドには出店がある。
辺りには良い匂いが漂い、食欲が増す。
4人そろって歩いていられたのは、祭り会場の手前までだった。
自然とカナコと鈴木君、あたしと椿君のペアになった。
「何か……――?」
「えっ?」
人ごみの雑音の中で椿君がなにを言ったのかよく聞こえない。
あたしの半歩前にいる椿君が人の波に押されてどんどん前に進んで行ってしまう。
「ごめん、椿君……今、なんて言ったの……?」
どうしよう。全然会話がままならない。
少しでも気を抜けばはぐれてしまいそうなぐらいの混雑ぶりだ。



