遠足が終わりホッとしたのもつかの間、5月には球技大会が控えていた。


運動の苦手なあたしにとって球技大会ほど恐ろしいことはない。


去年はバレーの試合中、何故か後頭部にボールが当たって脳しんとうを起こして散々だった。


今年は男子校と女子高が合併したということもあり、生徒間の交流が主な目的だ。


「……――にしても、キャーキャーうるさいわ」


球技大会の前日。


体育館のすみっこに座るカナコが顔を歪めて耳を塞ぐ。


「す、すごい人気だね。あの3人……」


「でも、やっぱり御堂君が一番人気だわ。その次が椿君。で、最後が琥太郎」


カナコの言葉にふと視線をコートに移す。