「どうしよう……、落し物もまだ見つかってないの……――。だけど早く戻らないとだし……」 「落し物って?」 御堂君から漂う甘い香水の匂いにキュッと胸がつまる。 「千恵ちゃんが……ポーチを落としちゃったんだって。それで……」 「それならもう探す必要ない。とりあえず落ち着け」 ポンポンッと背中を優しく叩いてくれる御堂君。 数回息を吸って吐いてを繰り返すうちに、気持ちが落ち着いてきた。 「ありがとう……もう大丈夫だよ……」 御堂君はそっとあたしの体を離すと、呆れたように笑った。