「き、今日、たまたまバイトが長引いちゃって……
そ、の…こ、この時間に出歩くのは初めてです……」
いくら助けてくれたからって、怖いものは怖いんだよ?
お陰で噛みまくりだ。
「この道は2度と通るな。」
「あ、はいっ!」
「それと、最近治安が悪いから夜の繁華街には行くな。わかったな」
「は、はい!」
有無を言わさぬ口調でそう言い、スタスタと歩いて行く男の人。
「まっ、待って下さいっ!」
「……あ?」
「あの!助けてくれてありがとうございました!」
「……さっきも聞いた。」
挨拶も無しに夜の闇に消えていった男の人。
これが私と彼の出逢いだった。
。