「……俺はお前にどういった感情を持っているのか分からない。
でも、好きでもない女をこの家に住まわせたりしないし、守るなんて事はしない。
だけど、俺は違う女をずっと愛している。
自分の気持ちが分からない。」
淡々と、機械のように事務的に話す雅さんを見て、どうしようもなく胸が苦しくなった。
感情の読み取れない無表情な顔が、少しだけ自嘲的になっている。
「未衣ちゃん……ですよね?」
「……知っていたのか?」
驚いたのか、目を見開いた雅さん。
「誰でも分かりますよ。あんな分かりやすい態度だったら。」
本人だって、組員さんだって、周りの人皆気付くくらい、雅さんの未衣ちゃんへの態度は分かりやすい。
むしろ、あれでバレてないと思っていた事が驚きだ。
「……俺は、小さいあいつを傷付けたんだ。」
「………」
それは、とても辛そうで
「守ると誓ったのに……俺自身があいつを傷付けた……!」
泣きそうに顔を歪めていて
「愛し方が分からなかったんだ……
間違った愛し方をして、いつしかあいつは俺の前から姿を消した。」
普段感情を見せない雅さんが、感情を見せている。
それは、あまりにも見ているこっちが泣きたくなるくらい……
叶わない恋に何年も、何年も悩まされてきた雅さん。
「……もう、大丈夫です。」
身体が勝手に動いていた。
気づいたら、雅さんを抱き締めていた。
「…………俺は、小さかったあいつを犯した。」
いつもは堂々としていて、大きく見える雅さんが、
「……俺は、未衣を愛してしまったんだ。」
小さく見える。
抱き締めておかないと、今すぐにでも消えてしまいそうで。
「私は……それでも貴方を愛してます。」
自然と、そんな言葉を零していた。


