「じゃあ、話は終わりだ。」
案外、早く終わった……と思ったのも束の間
バンッ!
今まで黙っていた愛美さんが、顔を真っ赤にして机を思いっきり叩いた。
それに少しだけ、ビクッとする。
「…愛美、往生際が悪いぞ。」
お父さんが止めるも、プルプルと多分怒りで震えている愛美さん。
その怒りの矛先は、明らかに私に向いている。
「私は認めない!なんでその女なの!?
雅も未衣様も騙されてるわ!
雅と結婚するのは私なのよ!?」
「…………」
「雅と結婚するのが私のずっと夢なの!
それを…それを何で突然現れた女に奪われないといけないわけ!?
私は認めないわ!」
「愛美、辞めなさい。見苦しいぞ。」
娘の爆発を止めるお父さんだけど、今の愛美さんには聞こえていないらしい。
「お父さんもお父さんよ!
なんでそんな簡単に諦めるわけ!?
私がどんなにこの縁談に賭けていたか知ってるでしょ!?
雅もよ!どうして私を見てくれないの!?」
「…………」
ただ、黙って聞いているだけの雅さんと未衣ちゃん。
「ただの一般人が、雅さんと結ばれるなんて事有り得ないわ!
そんなの、誰も許すわけがないじゃない!」
「言いたい事はそれだけか。」
「ぇ………」
「ぇ……!?」
それは、一瞬だった。


