白雪姫と組長様



中に入ると、雅さんと向かい合わせで座っている

愛美さんと、50代くらいの恰幅の良いおじさん…多分愛美さんのお父さんが座っていた。


「未衣様!」


パァ、と弾けんばかりの笑顔を見せた愛美さん。


待ってました、とばかりに……尻尾を振っている犬に見える。


「お嬢、此間振りです。」


……まさかの愛美さんのお父さんらしき人まで敬語。


「あぁ。辰吉、こないだ振り。」


自然と、未衣ちゃんに誘導されて何故か雅さんの隣に座っていた。


未衣ちゃんは私の隣に座って、私は二人に挟まれている状態だ。



「……揃ったな。」


ふと、雅さんがそう言った。


…と、同時に物腰の柔らかそうな雰囲気が消えた愛美さんのお父さんらしき人。


愛美さんは、相変わらず私を睨んでいる。


「その嬢ちゃんが、お前の言っていた女か?」


……そして雅さんにはタメ口らしい。


親子と見て間違いはない。


「あぁ。そうだ。」


「ほぅ。こりゃ別嬪さんだ。」


驚いた、と言いながらも私を値踏みするようにジロジロ見る愛美さんのお父さんらしき人。


「そういう事だ。」


……何が、そういう事なんだろうか。


「せっかくのチャンスだと思ったんだけどなー、残念だ。」


肩を竦めて、やれやれと言っている愛美さんのお父さんらしき人。