奈美を家に送ってから、もう見慣れてしまった篠原組に帰る。
「雪ちゃん、荷物はしーくんに預けて?
そのまま客室に行くから。」
「……へっ!?」
客室?…って今、雅さん達が居るんじゃないの?
愛美さんも……
二人が話してる所見るの、嫌だな……
「みーくんと どうなるのかは、雪ちゃん次第。ね?」
可愛く首を傾げた未衣ちゃんは、いつ見ても女の私でさえ見惚れてしまう。
「よく分からないんだけど……」
「えー、雪ちゃんはその場の雰囲気に流されてれば大丈夫大丈夫。
そのうち話なんて終わるから。」
「う、うん……」
なんとなく、嫌な予感がします。
言われた通りに秦さんにカバンを預けて、未衣ちゃんの後ろを着いて行く。
……これじゃあ、どっちが歳上なのか分からない。
入った事のない、客室の前で足が止まる。
「未衣です。」
「……入れ。」
「失礼します。」
襖の奥から、雅さんのいつもより少し固い声が聞こえた。
許可が降りると共に、いつの間にか来ていた組員さんが襖を開ける。
……全く気づかなかった。


