白雪姫と組長様


「やだなぁ、誰がみーくんが結婚するって言ったのー?
今から愛美は、破談になった、って聞かされに行くんだよー?」



「は、破談!?」


って事は、雅さんは結婚しないって事だよね


良かったぁ……


「だって別に、あそこと結婚してもメリットなんてウチにないもん。」



「それにあんなのが住むなんて事になったら、家中が臭くなる。」



……毒舌な事で


「そうよね!
あんなビッチよりも雪の方がずっと良い女だものね!
雅さんも"たまには"やるじゃない。」


"たまには"の部分を強調した奈美。


…これは、愛美さんと良い勝負になるかもしれない。


と、密かに思ったり……怒られるから言わないけどね。


「あ、二人共。」


「どうしたの?」


「なに?」


思い出したかのように声をあげた未衣ちゃん。


車が動いてから一言も話してない秦さんは、未衣ちゃんが居る時は基本的に喋らない。


「大学で、何か変化があったらすぐに報告して。特に雪ちゃん。
組員でも、しーくんでも、あたしでも、みーくんでも誰でも良いから。
どんなに小さな事でも必ず。」



急に真剣な表情になった未衣ちゃん。



「……どうして?」


「いろいろだよ。」


「……分かった。」


また、だ。


秦さんも、雅さんも、未衣ちゃんも、私に忠告はするくせに肝心な事は教えてくれない。



まるで、"お前には関係ない。" そう言われている気がしてならない。


元々は部外者だから、関係ないかもしれないけど…


私が関わっているなら、教えて欲しいと思う。


でも、どんなに聞いたって3人とも話を逸らすのが上手い。