白雪姫と組長様


講義が終わって、いつも通り秦さんの待ってるコンビニに行こうとしたら……


「白石雪、ちょっと良いかしら」


……えぇ。早くも接触して来ましたよ。


愛美さんが。


昨日のように、胸元全開の服に足出して何とも派手な格好の愛美さん。


香水がキツくて鼻に悪い。


化粧も濃いし、言っちゃえばギャルとキャバ嬢の間みたいな人。


「ちょっと雪、誰よその女。」


「え、あ、愛美さん……ですよね?」


「そうよ。下沢愛美。下沢組のお嬢よ。」


ふんっと鼻を鳴らして、見下したような態度で名前を言った愛美さん。


「私、奈美。それで、雪に何の用?」


それに負けじと、女王様な奈美。


……二人とも良い勝負だ。


「あんたに用はないの。
白石雪だけ居れば充分よ。さっさと帰りなさい。」


「はぁ!?無理に決まってるじゃない。
私は雪とコンビニまで一緒に行くっていう義務があるのよ。」


「毎日コンビニに行ってるの?
ふんっ。これだから貧乏は。」


いや、コンビニの駐車場ってだけで、そこのコンビニで買い物した事なんて数えるくらいしかない。


……なんて、口が裂けても言えない。



「庶民バカにすんじゃないわよ。
どうせ親のスネかじってる、ただの成金でしょ。」


「そんな事ないに決まってるじゃない。
親の金なんて使わなくても、私にはちゃんと収入が入ってくるのよ。」


「ふんっ、どうせ男に貢がせてるだけの尻軽でしょ。」



……初対面同士でここまで口喧嘩出来る人って、そうそう居ないよね。


折り合いが悪すぎる。