白雪姫と組長様


雅さんと並んでも、恥ずかしくないように自分なりに堂々と歩いた。


鳴り止まない悪口を、気にしていない風にして頑張った。


ただ、前を向いて歩いた。



人が少なくなってきた道。

ふと、雅さんが足を止めた。


そして私の方に向き直って、


「バカ女、よく頑張ったな。」


そういった。


「ぇっ……」


雅さんが確かに、優しく微笑んでいた。


驚いて固まっている私を横目に、一瞬で元に戻った雅さんは先に歩いて行っていた。


「あっ……」


急いでまた雅さんの所に追いついたけど、心臓はバクバクどころじゃない。


バクバクし過ぎて壊れそうだ。


冷めた筈の頬はまた熱を帯び出した。


普段は未衣ちゃんに向けていたあの微笑みが、自分に向けられていた。

あれは錯覚なんかじゃない。



少しは期待しても、良いですか…?