「お前バカか。
この時間は危ないんだ。一緒に居ねぇと護れねぇだろ。」
「うっ……」
"護れねぇだろ" だって!
もうね、今ズキューンって来た。
バクバクと音を立てる心臓に、真っ赤になる顔。
「みー達が待ってる。行くぞ。」
「あ、待って下さいよ!」
スタスタと歩いて行った雅さんに追いつく為に小走りで行く。
やっと追いついた所で、歩幅を私に合わせてくれるという優しい雅さん。
やっぱ雅さんが好きだ。
「雅様だ……」
「カッコイイ!」
「雅様ー、私も抱いてぇ」
「隣の女が今日の相手?」
「まっさかぁ。あんな地味な女を雅様が相手にするわけないでしょ。」
歩くに連れて、どんどん増えていく声。
明らかに私に聞こえるように話しているのは、夜の街で働く、全身を着飾った綺麗な女の人達。
これが嫌だから、雅さんの隣歩きたくなかったのになぁ……
雅さんに送られる視線は
尊敬、羨望、憧れ、欲望
私に送られる視線は
憎悪、嫉妬、敵心、軽蔑
明らかに違い過ぎる


