「私も叔父様もこれから仕事があるから今日は帰れ。」
「……分かりました。」
私の横を通り過ぎる時、
「白石雪、殺してやる。」
ボソッと小さい声で、そう言われた。
ブルッと体が震えたのがわかる。
明らかに殺意の篭った声。
唖然としていたら、いつの間にか姿を消していた。
「はぁ…雪ちゃん大丈夫?
愛美に何言われたの?」
「えっ、あぁ、なんでもないから大丈夫だよ!」
未衣ちゃんに話しかけられて、内心ドキッとした。
「ちっ…面倒くせぇ事になったな。
秦、どうしてバカ女を繁華街に呼んだんだ。」
「あの女が自分の所の組員使って、足止めくらってたから?
雪ちゃん向かえに行けなかったわけよ。」
「あのクソ女……」
雅さんは凄く機嫌が悪いみたい。
私には理解出来ない話をしている3人に、言いようもない疎外感を感じる。
「まぁ良い。帰んぞ。」
外は暗くなってきてて、夜の街で働く人が出勤をする為に人通りが多くなってきている。
さっきから通る人全員が雅さんをチラチラと見ている。
「じゃ、お嬢先に車行こー。」
「いーよー。」
そう言って先に車に行ってしまった秦さんと未衣ちゃん。
今、雅さんと初めての二人きりである。


