「お嬢と組長の事は雪ちゃんにとって避けては通れない道だけど……
あんまり口出ししないでね?
あの二人は、やっと修復し出してるんだ。」


「……修復、ですか?」


不思議そうな顔をしてる雪ちゃん。


ま、当たり前っちゃ当たり前だけどね。


これが通じた方が可笑しい。


「そ。
悪い事は言わないけど、その事について二人の前で喋らないでね。」


「……分かりました。」


納得はしてないみたいだけど、了承はしてくれた。


これ以上、お嬢も雅も、壊れると困るんだよね。


ただでさえ、"あれ"を見てるだけで辛いのに。



「雪ちゃんしか二人を救えない……ね。」


お嬢の言ってる事は正しい。


「秦さん……?」


「ん?どうしたの、雪ちゃん」


「あ、いえ。何でもないです」


「…じゃ、寝てる所起こしちゃってゴメンね?
夕食の時にまた呼びに来るから。」



雪ちゃんの返事を聞く前に部屋を出た。



「……はぁ」


雪ちゃんしか救えない。

分かってるけど……


心の何処かでは、お嬢しか認められない自分が居る。



「……ま、どうにかなるか。」



難しい事考えるなんて俺じゃないし。



「どうやって二人をくっつけようかなー?」



あー、楽しくなって来た。