白雪姫と組長様


「……どうぞ」


「ありがと」


何となく俺の顔色伺ってるし。


アイスコーヒーを一口飲み、テーブルに置く。


「…俺は雅との恋は応援してるよ?」


「え、あ、はい」


いきなり喋り出した俺に準備が出来ていなかったらしい雪ちゃん。


「薄々…と言うかさっき確信したでしょ?
雅の好きな人。」


まぁ、好きな人で済むような甘ったるい考えじゃないけど。


昔から雅のあれは異常だ。

"狂愛" と言っても否定出来ない。


「……はい……未衣ちゃん、ですよね?」


「そうそう。
雅はお嬢に実らない想いを抱き続けて、もう6年。
笑っちゃうでしょ?」


11歳だったお嬢を、一人の女として意識し出した雅。


まさか…そう思っていた。

思い過ごしだと。

忠告はしておいた。
予防線も張っておいた。


"あの事" があってだんだんと雅から距離を置き始めたお嬢。


「俺が気付いた時にはもう、間に合わなかった……」



自然と小さく溢れていた声。


お嬢は雅が怖くなり、俺たちの前から姿を消した。


雅も雅で荒れ狂ったあげく、完全に心を閉ざした。