お嬢が雪ちゃんの部屋に居ると組員から聞いて、俺は二人の会話を盗み聞きしていた。
雪ちゃんしか救えないと、そう言ったお嬢。
それは間違いではない。
捉え方の違いでは、雪ちゃんみたいに嫌味に聞こえるだろうけど……
お嬢は雪ちゃんの部屋を出て、玄関の方へ歩いて行った。
話を聞いてた限り、キッチンに行くんだろう。
俺はお嬢の姿が見えなくなるのを確認してから、静かに雪ちゃんの部屋に入る。
白で統一され、一人では有り余る程広い部屋。
家具は全て雅が雪ちゃんの為に選んだ特注品。
わざわざ飲み物を取りに行かなくても良いように作った冷蔵庫とキッチン。
まるで普通のアパートだ。
そして、屋敷の中でこの部屋は間違いなく浮いている。
それが酷く孤独感を思わせる。
存在感のある白いベッドで寝ている白雪姫。
俺は、それを冷たく見下ろした。


