黒く艶やかな肩くらいの髪の毛
白くニキビも傷もない綺麗な肌
大きな瞳に形の良い唇
小柄で、清潔感のある女
その雰囲気が……その見た目が……
雅が愛してやまなくて、一番近くに居て、だけど手に入れる事の出来ない
あの子に何処と無く似た女。
不覚にも固まってしまった。
「こいつ送る」
「あ、あぁ……」
雅の不機嫌で低い声に現実に戻され、あの子に似た女を車に乗せる。
雅は女を一度も見る事なく車にさっさと乗ったからか、戸惑ってオロオロしていた女に単純に苛ついた。
この女はあの子じゃない。
そう分かっていても、雰囲気が似ているからか比べてしまう。
あの子はこんな自分の考えを言えないような弱い女じゃない。
あの子はオロオロして落ち着きのない女じゃない。
あの子は……雅を自分と同等に接する。


