「さ、雪ちゃんの部屋行くよ」
私の頭にポンと手を置いて、立ち上がった秦さん。
「お、お願いします…!」
私も立って、秦さんの後ろをついて行く。
……んだけど、
「秦さん…まだですか?」
かれこれ5分は長い廊下を歩いてる。
部屋に行くまでにこんな時間掛かったことないよ。
ホテルでもすぐに部屋に着くんだから、多分人生初じゃないかと思う。
これからこの豪邸に住むなんて、まだ実感出来てない。
夢なんじゃないかって思う。
だってこんな広い家、芸能人の別荘とかドラマのお金持ちの人の家とか……そんなような所だよ?
実際に住んでる人が身近に居るなんて思わないよね。


