白雪姫と組長様


♪〜♪〜♪〜♪〜


静かな車内に流れる、小さい頃によく聞いたメロディー。

着信音はキラキラ星。


私のでなければ奈美のでもない。
もちろん秦さんでもないと思う。

未衣ちゃんのケータイも、さっき聞いた音と違うし……誰の?


「……もしもし?」


そう思ったのも束の間。


鞄からケータイを取り出して耳に当てたのは未衣ちゃん。


それも、さっきとは違う機種。


2台持ちしてるらしい。


「……今?3時くらいー。………迎えに来る?……今ちょっと野暮用なのー。」



通話している未衣ちゃんは、さっきと違って輝かしい程笑顔だ。


「うそ……ごめんなさーい。……んー。じゃあ、ライタウンに来てー?」


誰かが迎えに来るのかな?


心なしか未衣ちゃんは嬉しそう。


もしかして彼氏……とか?



「はぁーい。じゃあねー?」


電話を切った瞬間、恐ろしい顔をした秦さん。


「ねぇ未衣。
もしかしてあいつ来んの?」


「来るよー。
あ、4人全員来てくれるみたい。」


彼氏が4人……なんて事はないか。


じゃあ誰が来るのかな?

ちょっと気になる。



「ちっ…事故れば良いのに。」


……その4人の人を、秦さんは嫌いらしい。


なんかすごい事言ったよ、今。