白雪姫と組長様


「別に良いわよ?
後、堅苦しいから敬語ナシね。」


「……っわかった!」


奈美は未衣さんといつの間に仲良くなかったらしい。


あの奈美が気にいるのだから、良い子なんだろうけど……苦しいものは苦しい。



私をジーっと見つめている未衣さん。


「え、と…どうしたの?」


「雪ちゃん…って呼んでも良いですか?



上目遣いで覗き込むように聞いてくる彼女は、その可愛さに気づいているだろうか。


「い、いよ……」


「やったぁ!
雪ちゃんも未衣って呼んで下さい」


「うーん…未衣ちゃん、でいい?」


流石に雅さんの奥さんを呼び捨てには出来ない。


「はい!
女の子にそうやって呼ばれるの初めてで嬉しいです!」


なんとなく、意味深発言をする未衣さん…もとい未衣ちゃん。



「普段はなんて呼ばれてるの?」


アダ名とか?


「……んー。その内分かります。」


イタズラが成功した時のようなお茶目な表情の未衣ちゃん。


「その内?」


「はい。その内に。
だからそれまでナイショです。」


「ねぇ未衣ちゃん。
私もタメでいいよ?
その方が話しやすいから……」



なんとなく、触れられたくない話題みたいだから話を変えてみた。



「わかったー。」