白雪姫と組長様


店員が去った後も店内を見渡している"未衣"さん。


一向に話し出す気配がないので、私から口を開く。


「あの、話ってなんですか?」


「えっ、あ、すいません。
こういう所初めてで……つい嬉しくて。」


ヘヘッと笑う"未衣"さん。


「今日は突然来てしまってすいません。
お話があって伺いました。」


やっぱ、雅さんに近づかないでって言われるのかな?


自分の旦那が他の女を同じ敷地に住ますのを奥さんが許すはずないよね……。


自然と俯いてしまう。


「…別に大丈夫だけど話って?
私は居て大丈夫なの?」


そんな私に気づいたのか、奈美が代わりに話してくれる。


…警戒心丸出しだけどね。


「奈美さんも居てくれた方がこちらとしても有難いです。
…基本は雪さんにですけど、奈美さんも知っていてもらった方が良いので。」


本当に、よく出来た子だと思う。


奈美にも…って所は分からないけど。