…って、そんな事考えてる場合じゃない。
私たちに電話の断りを入れてる時は、普通だったよ?
電話に出た瞬間、突然にして変わった彼女。
え、もしや二重人格?
そう思わずには居られない程、衝撃的だった。
唖然としている私と奈美を他所に、聞こえてくる会話。
「……無理じゃねぇだろ。……そんくらい出来ねぇでなにが組長だ。あぁ?……
謝るくらいならさっさと仕事しろ。………はぁ……」
……え、組長?
今、組長って単語出なかった?
組長って雅さんの役職の、あの組長だよね?
え、組長さんって一番偉いんでしょ?
雅さんの奥さんって、そんなに偉い立場の人だったの!?
えっ、えっ、……
もう驚きが隠せない。
そんな私を見て、クスッと笑う秦さん。
「雪ちゃん顔に出すぎ。
未衣は二重人格じゃないから安心して?
ましてや精神障害でもないから。」
「え、あ、はい……
そうですよね……」
それでもクスクス笑っている秦さん。


