「…本題に入っても宜しいですか?」
「いいわよ。緊張するわねー」
絶対結婚の挨拶だと思ってるでしょ、お母さん。
「雅は2ヶ月前、雪さんが襲われそうな所を助けました。」
「……雪が?雪。聞いてないぞ。」
「言ってないからね……」
だって、そんな事親に言えなくない?
雅さんが助けてくれたし……
秦さんが続ける。
「その1ヶ月後、また雪さんが襲われそうな所を雅がたまたま通りかかって助けました。」
「2回も雪が……?
雅くん、娘を助けてくれて感謝する。」
「私からもお礼するわ。
この子、何も言わないで一人で抱え込んじゃうタイプだから……全く困っちゃうわ。」
お父さんとお母さんが、軽く頭を下げる。
「いえ……本当にたまたまですので。
お気になさらず。」
たまに、雅さんがあの時居なかったら…
それを考えると怖くなる。
想像したくないし……
本当に雅さんは私の恩人だ。


