それから家の掃除をしたり、お父さんに泣き疲れたりいろいろあって
やっと約束の時間になった。
ーーピンポーン
「はぁーい!
ほら雪ちゃん、彼氏が二人来たんじゃない?出てきてあげなさい!
どうしよ芳樹!娘の彼氏に会うなんて緊張するわね!」
「俺は雪に彼氏なんて反対だ!
今すぐ追い出してやる!」
「はぁ……もうそこで待っててよ。」
…本音を言うと黙っててよ。
リビングに二人を置いて、玄関のドアを開ける。
「こんにちは雅さん、秦さん。
どうぞ。」
「…邪魔する。」
「お邪魔します。」
いつも通りの黒いスーツで家に来た。
わ、雅さんが私の家に……!
カッコいい…
靴を揃えるだけなのに、その流れるような綺麗な動作に思わず凝視してしまう。


