「雅、入るよ。」
「……あぁ。」
10分くらい廊下を歩いて、一つの部屋の前で止まる。
中から雅さんの声が聞こえて、ドキッと心臓が跳ねる。
ガチャ
部屋の中に入ると、まず最初に高級な黒いソファでタバコを吸う雅さんの姿が目に入る。
「おせぇ」
「お前が黙って先に行くからだろ」
「…待つのは嫌いだ」
「知ってる知ってる」
「分かっているなら良いだろ」
「今は俺だけじゃなくて雪ちゃんも居るんだからさー」
「……そういえば」
「マジでしっかりしてくれ……」
私の存在を忘れていたらしい雅さんに溜息を吐く秦さん。
……地味に私はダメージが大きかったらしい。


