「……もう、手遅れなんです……」
やっとの思いで出た声はか細かった。
「知ってる。
だからこうして話に来たんだ。」
「………」
「雪ちゃんは、俺たちが何者か知らないでしょ?
知っているのは、そうだね……
名前と金持ちって事くらいだ。」
「はい……」
なんで秦さんはわかるんだろう。
「雅が女を車に乗せるなんて初めてだったからさ。
連れて来た時は驚いたよ。」
「そ、うなんですか」
私が初めてなんだ……
嬉しい
「最初は雅にどうやって取り入ったのか興味湧いてね?
調べてみても特に変わった所はないし、本当にただの普通の女子大生だ。」
「調べたって……」
何を?
と聞く前にだいたい分かった。
きっと私の個人情報だ。


