「出来ないから、こうして昼間に単独で来たんだよ。
もちろん雅は知らない。」
雅、というワードに内心ドキドキした。
雅さんは知らないんだ……。
でも、秦さんと話す事なんてあったっけ?
「…そうですか。
雪に手を出したら許しませんよ?」
「まさか、出すわけない。
出したら俺が雅に殺されるからね。」
なんでそこで雅さんが出てくるんだろ。
「ただでさえ、貴方の所為で雪は今。
女子に睨まれてるんですから。
嫌がらせでも始まったらそちらで対処して下さいよ。」
抜かりないです奈美さん。
「可愛子ちゃーん!可愛い顔が台無しだから睨んじゃダメだよー?」
「「………」」
今、わかってしまった。
秦さんは女の子大好きだ。
奈美の顔が引きつってる。
「それで嫌がらせだっけ?
"今の段階"でそれの心配はないよ。
じゃあ雪ちゃん、行こうか。
俺も時間がないから。」
「あ、はい。
じゃあ奈美、また明日ね!」
「気をつけてね雪。
じゃあ秦さん、よろしくお願いします。」
「はいはーい、奈美ちゃんもまたね」
女の子に睨まれながら、車に乗り込む。


