「苗字?えー、どうしよっかなー」
「あ、教えられないなら大丈夫です……」
「くくく。ウソウソ。意地悪してゴメンね?」
「い、意地悪だったんですか!?」
「だって雪ちゃん純粋だからさー」
こんな純粋で素直な子、珍しいから
と目を細めて遠くを見つめる秦さん。
いつものおチャラけた雰囲気なんて無くて、なんだか消えちゃいそうな感じ。
「秦さん……?」
「あ、雪ちゃん。家ついたよ」
いつの間にか家に着いていたらしい。
「今度のバイトはいつ?」
「明日です」
「了解。じゃあまた明日。」
「おやすみなさい」
車は去っていった。


