なにも言わずにスタスタ前を歩く男の人。
着いてこい、も一言も喋らずにだ。
普段から喋る方ではないんだと思う。
一本裏に行った道路の前で止まった男の人。
目の前には男の人の背中と、はみ出して見える黒塗りの車。
「あー!やっと来た!」
「………」
すると車の中から出てきたチャラい男の人。
この男の人もそうだけど、二人ともスーツを着ている。
「待ちくたびれたじゃんか」
「………」
一人で喋るチャラい人を無視する男の人。
「ったく、突然降りるって行って飛び出すんだから。
やめてよねーそう言うの」
「……一人追加。」
チャラい人が車のドアを開けると、多分私の事を言った男の人。


