12月。

街のあちこちでクリスマスソングが流れる頃。

だけど受験生のわたし達には、そんな浮かれたムードは漂っていなかった。


「ちぃちゃん!」


アカネちゃんと一緒に校門を出て歩いていると、後ろから声を掛けられた。

振り返ると、サトシ君とシィ君がいた。


「ちぃちゃん、今からオレん家、来うへん?」


「え?」


サトシ君のその言葉に、一瞬体が固まった。

この間エミコから聞いた話が頭をよぎって、つい警戒態勢に入っちゃう。

そんなわたしの様子に気付いてるのかどうだかわからないけど、サトシ君は話を続けた。


「シィとオレん家で勉強すんねん。ちぃちゃんとそれから、アカネちゃんも一緒にどう?」


そっか。

4人で……ってことか。


それなら、別に構わないかな。

シィ君もアカネちゃんも頭良いし、あわよくば教えてもらえるかもしれない。