「遅かったじゃん。」
アイツのその声と同時に
パッと光が灯った。
「きれい…」
周りにはきれいなイルミネーション。
…後夜祭にイルミネーションが光るなんて
さすが私立…。
「すげぇな。」
そういうアイツの横顔を眺める。
するとこちらに目を流したあいつが
ふっと笑った。
「なに?俺に見惚れちゃった?」
『自惚れないで。』
あの時みたいに
あの契約の時みたいに
そう返したいのに
言葉が出なくて
「さあね~。」
あたしはそう返すのが精いっぱいだった。
真っ赤なイルミネーションが
赤く染まったあたしの頬を照らした。