【完】蒼色ネクタイ-好きになってごめんなさい-






それから日を追うごとに

『1-2☆ピタゴラ』

は完成に近づいて行った。




そして、文化祭前日…



「で、できたー!!!」


クラス委員のこの声にあたしたちは歓声をあげた。



そこには、段ボールとペットボトルで作られたとは思えないほど

大きくて立派なピタゴラ…


ううん。

『1-2☆ピタゴラ』


ができていた。



とはいえ

まだまだ本物には遅れを取るけれど


あたしたちにはそれ以上の価値がある


大きな大きな『1-2☆ピタゴラ』。



ガムテープを1日に4個も使いきっちゃったり、

学校の周りにあるお店をほぼ全部回って段ボールを集めたり

途中でペットボトルを落としてしまっておじさんに怒られたり…




たくさんの思い出が一気に駆け巡り


クラス中が達成感でいっぱいになった。


「…ふっ…えっ…」

「ちょっ!金子さん、なんで泣いてるのー?」

「なんか、うれしくて…」

「わーん!もらい泣きしちゃうじゃん!」


あははっと和やかな空気に変わる。




文化祭まで




あと1日。