「綺羅ちゃん。なにかあったの?」 「ううん。大丈夫だよっ!」 あからさまな空元気で答えたあたしを しーちゃんはただ心配そうに見つめた。 カランコロンと氷をかきまぜる音だけが 伏せた瞳に涼しげに響いた。 そのくらいそうしてたのだろう? しばらくしてから 「そっか…。なにかあったら言ってね?」 そう言ってしーちゃんは笑った。 しーちゃん、ごめん。 言えないや。 しーちゃんにだけは、絶対。 ガヤガヤと周りの音だけが嫌に響く。 あたしはすっと深く息を吸った。