あたしの解答を黙々と答え合せするアイツに
「ねえ、アンタなんでいきなりあたしに勉強なんから教えてくれたの?」
とずっと疑問に思ってたことを投げかけると
「試験は契約者同士の合計点。俺の成績を下げられたくないからだ。それと…」
アイツが顔を上げ深い茶の髪が額にさらりと滑った。
「俺は浅日柚だって言っただろ?」
「じゃあ、浅日先輩……」
「はい、終わり。」
言いかけたあたしにそう言って
アイツは答え合せの終わったノートを押し付けてきた。
「お前、間違えすぎ。バカか?」
「ば、バカって…!」
「でも、苦手な割には上出来なんじゃねぇの?」
そう言ってアイツはニッと笑った。
いつもの企んだような笑いじゃない。
小さい男の子のような無邪気な笑顔…。
アイツ、こんな顔もできるんだ…
トクリ…
と、胸奥で何かのカギがあいた音がした。

