それからしばらくは平和だった。


アイツとあたしは『契約している』
ということを除けばただの先輩後輩の関係。


関わろうとしなければとことん避けることだってできるし
一日中会わない日だってある。




ただ…

「あ!!ユキ先輩〜!!」

アイツとあたしの教室が同じフロアなことを除けば。


相変わらずアイツを崇拝しているしーちゃんは
アイツを見つけるなり一目散に駆けていった。

ただでさえ人気もののアイツの隣を
常にキープするしーちゃんは
もはや、恐るべき…としか言いようがない。



アイツを見上げながらかわいらしく微笑むしーちゃんはもう『女の子』で

そんなしーちゃんに苦笑いすると

同じく取り残されたハルくんとあたしは顔を見合わせた。



「ごめんな。ああなるとしばらく戻って来ないからな、しー。」

そう苦笑いを向けたハルくんの
その瞳の切なさに
胸が締め付けられる思いでいると…