「ったく、鈍くせぇな。」

そんないらだたしげな声が聞こえて


グッと体が強く引き寄せられたかと思うと

あたしの体は浮いて、気づけば窓から中に入っていた。


パシン


と窓を強く閉める音が聞こえる。


顔色なんか伺わなくてもわかる。


今のアイツはド怒りだ。



「なあ、なにしてるわけ?なんでひょいひょい着いてくの?バカ?」

「着いてかないわけにいかないじゃん…。」

「だからって俺に助けさせるわけ?なんか報酬くれるんだよな?」


そういってアイツはじりじりとあたしを窓際へと追い詰めていく。


「なぁ、綺羅……」

「じゃあ、最初っから助けなきゃよかったじゃん!あたしだってアンタなんか大嫌いなんだから!」


あたしはそう叫ぶと教室を飛び出した。



ドキドキと激しく揺れる心臓も

アイツなんかにドキッとしてしまったことも


なにもかもが


いらだたしくて

悔しくて

惨めで


たまらなかった。