「ねぇっ、そのネクタイって蒼色?」
かわいらしいそんな声が聞こえて顔を上げると
ゆるく巻かれた肩ほどまでの茶髪に
深い二重に縁どられた
琥珀色の澄んだ瞳。
あの、ゆるふわ女子が目をきらきらさせて聞いてきた。
「うん。そうだけど…」
「わぁーっ!ってことはユキ先輩と契約したんだぁ~。いいなぁ…。」
「え。どうしてアイツ!?」
「蒼色ネクタイってことはユキ先輩、でしょ?」
え…どういうこと…??
「桜火学院は成績とか役職とか全部合わせて『位』っていうの。
だから校則の『上級生』っていうのも位が上って意味なんだって!
だから一番上、蒼色ネクタイはユキ先輩ひとりだけってことなの。」
えぇー!
そうなんだ!
ってかアイツが一番上なんだね。
びっくりだ。
「でも、いいなぁ~。」
ちいさなため息とともに聞こえた声にあたしは疑問げに顔を上げた。
「私もユキ先輩に『契約してください』って頼んだんだけど…断られちゃった。」
そう言ってこてんと首を傾げるゆるふわ女子にあたしは更に驚いた。
ちょっと!こんなかわいいゆるふわ女子の契約断るとかどういう神経してるの、アイツ!?

